Vol.36 肝炎
今回は肝炎のお話です。肝炎は何らかの原因により肝臓に炎症が起こり発熱、黄疸、倦怠感等の症状を起こす病気です。
肝炎の原因
原因はウイルス、アルコール、薬物、自己免疫等です。日本ではウイルスによる肝炎が8割で、日本人に多いのはA型(汚染された飲み水や魚介類が感染源)、
B型(母子感染、性行為感染)、C型(過去の輸血等にて感染)の3種類です。薬剤性肝炎は薬そのものが肝臓を傷つける場合と、薬によるアレルギー反応で肝臓が攻撃を受ける場合があります。
アルコール性肝炎は普段から飲酒習慣のある人が、数日にわたり大量に飲酒すると起こることがあり、腹痛と発熱が急に現れます。自己免疫性肝炎は女性に多く、自分の免疫機能が間違えて肝臓を攻撃し肝障害を起こします。
いろいろな肝炎
病気の経過からは、急性肝炎、慢性肝炎、劇症肝炎に分類されます。
- 急性肝炎
- ウイルスに感染してから数週〜数ヵ月で発症します。原因はA型ウイルスが4割です。症状は倦怠感、食欲不振、黄疸等です。治療は安静が基本で、点滴で体力を維持し、肝臓を保護します。数ヵ月以内に改善します。
- 慢性肝炎
- 肝細胞の障害が6ヵ月以上続いている状態です。肝炎の中で最も多く、主にC型ウイルスが原因です。長い年月の間に進行し肝硬変や肝細胞癌となることがあります。
倦怠感や吐き気、食欲不振等の症状がみられることもありますが、自覚症状がほとんどないため、健康診断で偶然見つかったりします。病気の原因や状態により肝庇護剤やインターフェロン等で治療を行います。
- 劇症肝炎
- 急性肝炎の中で約1%の方が発症します。初期症状は急性肝炎と同じです。急性肝炎の場合は症状が快方に向かいますが、劇症肝炎の場合はさらに悪化し意識障害が現れます。
いろいろな臓器に重篤な合併症を起こすため、死亡率が高く、7〜8割の方が亡くなられています。
自覚症状を感じたら迷わず精密検査を!
診断は血液検査、超音波検査、CT、肝臓の細胞を採取して調べる肝生検等を行います。肝臓は少々であれば機能異常があっても症状が出にくい臓器です。
健康診断等での肝機能異常や、何らかの自覚症状を感じたときは、放置して病気が進んでしまわないように、医療機関で精密検査を受けましょう。
2009年12月 掲載