Vol.52 リンゴ病のお話
今回は、聞いたことはあるが意外と知られていないリンゴ病についてのお話です。
リンゴ病は正式な名前は伝染性紅斑といいます。病原体となるヒトパルボウイルスB19の感染によって起こります。
5〜9歳の人に最も多いですが、成人の方でも未感染の場合は感染する可能性があります。
冬から初夏にかけて流行することがあるようです。
症状
子供と成人で症状がやや異なります。感染は呼吸器官からの飛沫感染です(風邪と同じです)。
- まず感染して7日くらいは潜伏期間です。その後数日間、発熱、頭痛、悪寒、筋肉痛、風邪様の症状などが出現します。子供ではこの症状がはっきり出ないことがあります。この頃にウイルスの気道からの排出が起こり、他人に感染しやすい状態となっています。
- その後1週間ほど症状が全く無くなります。
- 症状の無い1週間経過のあと両側の頬が赤くなり(リンゴのようになります)、体や手足の皮膚に網目状の発赤が出現します。多くの場合はこの時点でリンゴ病と診断されます。成人の場合この特徴的な皮膚の症状がないことがあり、頭痛、かゆみ、発熱、関節痛、筋肉痛、手足のむくみなどが出現します。症状が一時消えた頃からウイルスの排出は止まっていて、人には感染しない状態になっており、皮膚症状が出ているときは隔離は不要です。
診断
診断は経過と皮膚の症状から行います。
ウイルスに対しての特別な治療はありませんが、症状に対しての対症療法を行います。
妊娠初期・中期の方が感染すると胎児に胎児水腫や心不全が起こることがあり、
流産の原因になる可能性があります。流行しているときには発熱のある子供には
むやみに接触しないように心がけましょう。
2011年4月 掲載