Vol.46 尿路感染症のお話
今回は尿路感染症のお話です。
尿は腎臓の尿細管で作られ、腎盂に集められ、尿管を通り、膀胱に尿がたまり、尿道を通り、尿道口から体外に排泄されます。この経路を尿路と言います。
男性の場合前立腺等を含めます。ここに病原体が感染して起こるのが尿路感染症です。炎症の起こるところによって下部尿路感染症(尿道炎、膀胱炎、前立腺炎)、上部尿路感染症(腎盂腎炎)があります。
症状と原因
症状は膀胱炎、尿道炎の場合、尿の回数の増加、尿をするときの痛み、尿が残っている感じ、血尿等が出現し、基本的には発熱がありません。
腎盂腎炎の場合は発熱があり、腰痛を伴います。子供の場合は熱以外のはっきりとした症状が出ないことがあります。
多くは尿道口から細菌が入り込み、尿道を通って膀胱に細菌が繁殖して膀胱炎を起こし、更に尿管をさかのぼると腎臓に至り腎盂腎炎となります。
ひどいときは腎臓から血液に細菌が入り込み、敗血症になることもあります。原因になる菌はほとんどが大腸菌です。
女性のほうが、尿道が男性より短いため、尿路感染症が起こりやすい傾向があります。
尿路の異常によって起こる感染症
尿路の異常によって尿路感染を繰り返すものを複雑性尿路感染症と言います。膀胱から尿管に尿が逆流する膀胱尿管逆流、
一つの腎臓に腎盂・尿管が複数ある重複腎盂尿管、尿管が狭くなっている尿管狭窄、腎盂に尿が異常にたまり拡張した水腎症等があります。
上部尿路感染症を繰り返すときはこれらの異常があることが疑われるので精密検査を受けましょう。
予防と治療法
一般的な尿路感染症の予防はしっかり水分を取ること、尿を我慢しないことです。治療は抗生物質が有効です。異常を感じたら医療機関に受診し治療を受けましょう。
2010年10月 掲載