Vol.42 脂質異常症
今回は前回の糖尿病に続いて、生活習慣病の一つ脂質異常症のお話です。以前は高脂血症と言われていましたが2007年7月に脂質異常症に改名されました。
ほとんど自覚症状のない脂質異常症
脂質異常症とは血液中の悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が高過ぎたり、善玉コレステロール(HDLコレステロール)が低過ぎたり中性脂肪が多過ぎたりしている状態です。
脂質異常症は自覚症状がほとんどありません。健康診断で初めて指摘される方がほとんどです。日本人の三割以上の方に脂質異常症があると言われています。原因は食生活の乱れ、運動不足、喫煙、糖尿病等の生活習慣と、遺伝によるものがあります。
脂質異常症は放置しておくと動脈硬化の原因となります。動脈硬化は心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、腎蔵障害等の原因となり、高血圧症を悪化させます。心筋梗塞、脳梗塞で亡くなられる方を合わせると死因の第一位であるがんを上回ります。
治療法
治療は食事療法、運動療法を基本に行います。食事療法は、総カロリーの制限、動物性脂肪の制限、高コレステロール食の制限、飲酒・喫煙の制限、お菓子等の制限、野菜類の摂取を行います。
コレステロールは卵類(魚卵も)、内臓類(魚介類の内臓も)に多く含まれます。全く食べていけないわけではありませんので、バランスよく控えめにという事が大事です。
運動療法は、ウォーキングや水中歩行サイクリング等を汗をかくが鼻歌が歌える位の強さで、一回につき30分以上、週3回以上、一週間の合計が3時間以上できると理想的と言われています。
しかし実際は仕事等で時間が取れない方も多いので、できるだけということで構いません。
食事療法や運動療法は一生続けていくことができるように、無理な事をしない事が大切です。また、初めから数値の異常の程度が悪かったり、食事療法や運動療法で充分に改善されない場合は内服治療を行います。
血圧等と違って簡単に測定ができないため、まずは医療機関を受診し指導を受けられ、定期的に血液検査を受けられると良いでしょう。
2010年6月 掲載